この記事のまとめ
- 中退者は意外と多い。不安なのはあなただけじゃない。
- 正社員就職率は低い。それは就活の進め方を知らないから。
- 生涯年収は低い。だけど正社員になることで差は埋まる。
- フリーター期間が長いと不利に。少しでも早く就活しよう。
- 正しいやり方で進めれば、就職は難しいことではない。
- 将来を見越したうえで、戦略的に就職を考えよう。
- 最初の収入目標は、高卒の初任給17~18万円を参考に。
- 「継続性」「将来性」「スキル」の3つを軸に就活する。
- おすすめする具体的な仕事は「営業職」と「IT関係」。
- 就活のはじめの一歩は、相談相手を見つけること。
- 大学中退者向けの「就職エージェント」が最も効率的。
- 就職エージェントは、無料で利用できる。
- 未来を常に意識して、自分の行動に反映しよう。
- 終身雇用が崩壊し、今後は転職が当たり前の時代に。
- 将来的に需要があるスキルを身につけることが大切。
大学中退者は、新卒一括採用と違って就職までのルートが分かりにくいもの。
そこで就職する前に知っておきたいことから、不安や悩みまでを解説しています。

私かすがみは、就活の進め方が分からず20代をフリーターで過ごしました。「もっと誰かに頼っていればよかったなぁ」と後悔しています。
この記事では「中退した後に何をしていいのかわからない」「どこに相談したらいいかわからない」といった悩みをすべて解決します。
就職前に知っておくべき中退者の現状
まずは、以下の3点について把握しておきましょう。
- ①大学の中退率と中退者数
-
不安なのはあなただけじゃありません。
多くの人が同じような境遇で悩んでいます。
- ②大学中退者の正社員就職率
-
卒業者に比べて正社員就職率は低い。
就職に不利なことを事実として受け入れましょう。
- ③大学中退者の生涯年収
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卒業者に比べると生涯年収は低いのが現実。
でも実は正社員で就職するかどうかのほうが重要です。
大学の中退率と中退者数
大学の中退率と中退者数は以下のとおり。
- 年間の大学中退率は1.95%(参考:文部科学省)
-
2020年4月~2021年3月の1年間を調査
全学生数297万人のうち5万7,913人が中退
年間で50人に1人が中退している計算
- 卒業までの大学中退率は7%(参考:大学の実力2019)
-
2014年大学入学者が卒業するまでの追跡調査
入学時53.8万人のうち卒業までに3万7,584人が中退
卒業までに14人に1人が中退している計算
- 大学中退者は1.6万人減(21.8%減)(参考:文部科学省)
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2019年度は7万4,129人、2020年度は5万7,913人が中退
2020年度は2019年度に比べて中退者が1.6万人少ない
コロナ禍における授業料減免など各大学の支援活動が影響
コロナ禍の影響で一時的に減っているとはいえ、大学の中退者は意外と多いのです。
では中退者がみんな不幸な人生を歩んでいるかというと、決してそうではありません。

中退者でも幸せな人生を歩んでいる人はたくさんいますので、あなたも大丈夫ですよ。
以下の記事では、「項目別」や「ランキング形式」、さらに「中退理由」まで図解で分かりやすく解説しています。

大学中退者の正社員就職率
大学中退者の正社員就職率は以下のとおりです。
卒業者と比べて、中退者の就職率がすごく低いことがわかりますね。
- 大学・大学院 卒業者
-
正社員就職率 72.1%
- 大学・大学院 中退者
-
正社員就職率 44.2%
参考:独立行政法人 労働政策研究・研修機構「大学等中退者の就労と意識に関する研究」
図表1-7 正社員就業までの期間(25~29 歳)より算出
大学を卒業する人には、新卒一括採用といったルートが用意されています。
でも中退者は、時期や理由が人によって様々なため就職ルートが確立されていません。

そのため私は30歳目前まで、フリーターでだらだらと過ごしてしまいました。
私の頃にはなかったのですが、現在は「就職エージェント」という就職支援サービスが存在します。
無料で利用できて、就職相談や面接対策までサポートしてくれるメリットしかないサービス。
大学中退者向けのエージェントもありますので、ぜひ利用を考えてみてはいかがでしょう。
以下の記事で、就職エージェントの選び方などを詳しく紹介しています。

大学中退者の生涯年収
大学卒業者と比べて、生涯年収はどれくらいの差があるのでしょうか。


生涯年収の差(男性)
卒業者(大学・大学院卒) | 中退者(高校卒) | 生涯年収の差 | |
正社員 | 2億6,920万円 | 2億1,140万円 | 5,780万円 |
非正社員 | 1億5,630万円 | 1億3,020万円 | 2,610万円 |
生涯年収の差 | 1億1,290万円 | 8,120万円 |
- 卒業者と中退者の比較
-
「卒業×正社員」と「中退×正社員」の差 5,780万円
「卒業×非正社員」と「中退×非正社員」の差 2,610万円
- 正社員と非正社員の比較
-
「卒業×正社員」と「卒業×非正社員」の差 1億1,290万円
「中退×正社員」と「中退×非正社員」の差 8,120万円
- 中退正社員と卒業非正社員の比較
-
「中退×正社員」と「卒業×非正社員」の差 5,510万円
卒業・中退の差より、正社員・非正社員の差のほうが大きいことがわかります。
つまり、中退したかどうかよりも正社員で就職することのほうが、生涯年収においては重要だということです。
このことは、「卒業者の非正社員」よりも「中退者の正社員」のほうが生涯年収が多いことから明らかですね。
大学中退者の不安や悩みとその解決策
ここでは大学中退者にありがちな不安や悩みを集めました。
中退後とりあえずアルバイトではダメですか
経済的な理由や様々な事情がありますし、アルバイト自体は悪いことではありません。
しかし正社員を狙うのであれば、少しでも早く就職活動をしたほうが有利。
フリーター期間が延びれば、どんどん不利になっていくと考えて間違いないです。
面接では中退理由以外にも、フリーター期間についての説明も求められますからね。
環境が許すのであれば、中退後は就職活動に集中することをお勧めします。
大学中退者は正社員で就職できないのでは
大学を卒業できず、社会人経験もまったくない。
そんな人が正社員なんて無理なのでは・・・と考える人は少なくありません。
確かに卒業者(72.1%)に比べれば、正社員就職率は低く(44.2%)なっています。
でも半分近くの人が就職できていることは事実。
しかもこの数字には、正社員での就職にチャレンジすらしなかった人も含まれています。
正しいやり方で進めれば、正社員で就職することは実は難しいことではありません。
中退者はキツイ仕事にしか就けないのでは
あなたが何を軸に就活するかによります。
給料を軸に就活するとキツイ仕事になりがちです。
なぜなら「キツイ」ということの対価として給料が支払われるから。
せっかく就職しても3年以内にやめてしまう人が30%以上います。
目先の収入や条件にとらわれず、長期目線で就職を考えましょう。
最初は給料が低くてもいいので、スキルが身について長く続けられそうな仕事を選ぶ。
そして長期的に収入UPを狙っていったほうが上手くいくはずです。
どのくらいの収入を望んでいいのか分かりません
大学中退者の最終学歴は高卒となります。
なので高卒の初任給である17~18万円を参考にするとよいでしょう。
性 | 大学院 | 大学 | 高専・短大 | 専門学校 | 高校 |
男女計 | 255.6 | 226.0 | 202.2 | 208.0 | 177.7 |
男 | 254.1 | 227.2 | 211.6 | 203.0 | 179.5 |
女 | 260.1 | 224.6 | 199.0 | 211.5 | 174.6 |
ここでの注意点は、2点あります。
- 焦って給料の高さだけを基準に就職活動をしないこと
- フリーターと給料に差がないからと正社員を先延ばしにしないこと
大学卒業者の初任給と比べると、5万円ほどの差があります。
これは最初は学歴で判断されるので当然のこと。
中退者は一足先に社会に出る分、「正社員での実務経験」という武器を手に入れましょう。
またアルバイトだとスキルが積みあがりません。
極論を言えば、生涯同じ賃金で働き続けるということです。
転職市場で評価されるスキルを身につけるという感覚を持つことが大事。
実務経験とスキルを積み上げていくことで、少しずつ給料は上がっていきますので安心してください。
何を軸に就職したらいいのか分かりません
就職の軸を見つけられない人は多いはず。
まずは以下の3点を軸に、どんな業種や職種があるのか調べてみましょう。
- 続けられそうかどうか
- 将来性があるかどうか
- スキルが身につくかどうか
世の中にどんな仕事があるのかを知ることが目的です。
なんとなく興味が持てそう、という仕事がみつかればOK。
その業界を中心に調べていけば、自分なりの就職の軸がみつかるはずです。
仕事探しは「リクナビNEXT」や「マイナビ転職」といった転職サイトを利用するといいでしょう。
どちらかというと無料で自己分析ができますので「リクナビNEXT」がおすすめです。
おすすめの仕事を具体的に教えてください
将来性があって、スキルが積みあがって、未経験でも大丈夫な仕事。
大学中退者に、ズバリおすすめの仕事は以下の2つです。
- 営業職
- IT関係
もちろんこれ以外に興味のある仕事がある人はそれでOK。
よくわからないなーって人は、最初に検討してほしい仕事となります。
就活の流れがわからないので教えてください
就活のやり方がわからなくて悩んでいる人は多いと思います。
一般的な就活の流れは以下の通り。
- 情報収集
- 自己分析
- 履歴書作成
- 面接対策
- 求人に応募
- 内定手続き
大学中退者は就職の相談をできる人が存在しません。
なので自分ひとりで就活を進めることになりがち。
だけど、ひとりで就活のスケジュールを組むことは至難の業です。
まずは信頼できる相談相手を見つけることをお勧めします。
大学中退者はどこに相談したらいいですか
大学中退者の主な相談先を挙げてみました。
- 親や友人
- ハローワーク
- 就職エージェント
親や友人であれば、親身に相談に乗ってくれるため安心できるもの。
しかし情報が古かったり主観で判断されるため、頼り切るのは危険。
例えば親世代のかつての就職状況と、現代とではまったく状況が異なりますよね。
また自身の成功体験や「就職とはこうあるべきもの」といった主観でのアドバイスは、あなたに当てはまらない可能性が高いです。
ではハローワークはどうでしょうか。
企業が求人を出す場合は意外と費用が掛かり、ざっくりと20万円~150万円くらい。
ところがハローワークは無料で掲載できるため、予算がない企業でも求人を出せます。
一概には言えませんが、ブラック企業に当たる確率も必然と高くなるというもの。
また基本的には自分で仕事を検索して応募するシステムです。
一人きりの就活に不安を感じる人にとっては、利用しづらいかもしれませんね。
中退者は「就職エージェント」を利用するのが最も効率的です。
就職エージェントってどんなサービスですか
就職エージェントは、求職者と企業の間を取り持ってくれる存在。
企業の求めている人物像と、求職者の希望を聞き取ってマッチングします。
その結果、双方が納得できる結果になりやすいんですね。
その他のメリットはこんな感じ。
- 無料で利用できる
- 内定率が高い
- サポートが充実している
- ブラック企業対策がされている
詳しく知りたい人は以下の記事をどうぞ。

後悔しないために中退者が知っておくべきこと
ここでは大学中退者が、人生で失敗しないための考え方をまとめています。
あなたの人生の参考になれば幸いです。
未来格差に備える
未来格差とは、未来に対する感度によって生じる格差のことです。
未来がどうなるのかを常に意識し、自分の行動に反映できるかどうか。
今安定しているからといって、何となく大企業に入って将来性のない仕事に就き、そこで20年、30年とキャリアを重ねてもしょうがない。
そんな勝ちの薄い目に一点掛けするより、いくつもの多様な仕事に関わって、収入源を複数持っていた方が、よほどリスク分散になります。
引用:岡田斗司夫「ユーチューバーが消滅する未来」
終身雇用が崩壊し、企業の寿命も短命化している現代。
かつての学歴社会のように、大企業に入社すれば安泰という時代は終わりを告げました。
じっくりと未来を見据えたうえで、長期的な目線をもって行動するようにしましょう。
終身雇用からジョブ型雇用へ
日本は長らく終身雇用や年功序列の時代が続きました。
景気の良かった時代はよかったのですが、現在では終身雇用を維持できない企業が増えています。
そしてこれからもますます、その傾向は強くなるといわれています。
代わって今後の主流となるのがジョブ型雇用。
終身雇用とジョブ型雇用の違いを簡単にまとめると以下の通り。
- 終身雇用
-
新卒一括採用で定年までひとつの企業に勤め続ける
その企業で様々な業務をこなせるマルチな人材を育成できる
反面、ほかの企業では役に立たないスキルも多い
- ジョブ型雇用
-
中途採用が多く転職なども活発に行われる
職務内容が限定されておりいわばその職のスペシャリスト
どの企業にいっても通用する汎用的なスキルが必要
経済状況の悪化により、企業は人材育成に時間やお金をかけている余裕がありません。
そこでそれぞれの職務に合ったスキルを、もともと持っている人材を採用するんですね。
つまりこれからの時代は、「なにができるか(=スキル)」がより重要になります。
そして転職を見据えたうえで、将来的に需要のあるスキルを身につけることが大切。

せっかく身につけたスキルでも、評価されなければ意味がありませんからね。
まとめ
大学中退者は、卒業者に比べて不利な面が多いことは事実。
特にみなさんが気になることは、正社員就職率や生涯年収でしょうか。
しかし大学中退者は意外と多いもの。
その人たちがみんな不幸かというとそうではありません。
もちろん、幸せの感じ方は人それぞれだとは思います。
その中で、正社員になることは多くの人にとって幸せにひとつ近づく方法なのでは。
就活のやり方がわからない人も、就職エージェントを利用すれば大丈夫。
行動しなければ人生は何も変わらない。
まずは行動することから始めてみましょう!
